第18章 秘密の抜け道(裏:謙信、信長)
丁度城内に入る橋に近づいた頃、すっかり日は沈み、月明かりだけになっていた
そこに政宗と秀吉が待ち受けているのが、遠目で見て解った
信長が到着するなり、抱えられた膨らみに
「このっ跳ねっ返りがっ・・・何企んでた」
「何かあるなら、相談しろと言ってるだろう、湖」
何も言い返してこない湖に、二人は様子を伺う
「残念ながら、湖様。いましがたお休みになられました」
三成の言葉に、ため息を付く二人
ニヤニヤと、光秀は二人を見ると
「この城の武将もすっかり過保護になったもんだな」
と言い、次に信長方を向く
「上杉らの動向、使いのものを放っております。なにかあれば、また報告いたします」
「解った」
短く返事をする信長、それに礼をし光秀がそこから自分の御殿へと向かっていった
それと入れ替わるように、家康がその場に現れた
「・・・要点だけでいいので説明を下さい。領地から戻って、御殿に入るまもなく呼び出されたんです・・・どうせ、また湖絡みでしょうが・・・」
信長の腕の中で寝ている湖を見て、ため息を零す家康
「綱でも繋いでおけば、怪我もしないでしょうに・・・」
家康の小声が耳に入った信長は、馬を進ませながら答えた
「好きにさせておけ・・・退屈せずに済む」
フッと笑みを零す信長に、秀吉が何か言いたそうに口を開こうとする
だが、その言葉が出る前に馬を走らせ始めた信長
慌てて秀吉がそれに付いていく
馬から下りた三成と、政宗、家康はゆっくりとその後を追った
「で、湖はどうやって城から出てたんだ。出入り口は通ってないぞ」
政宗の問いには、三成が答えた
「まだ実際には見ていないのですが、抜け道があるようです。湖様が起きる前に、早々に確認しておきましょう。家康様もどうですか?」
「・・・俺は、怪我の手当に行ってくる・・・」
「そうですね。湖様の具合、どうぞよろしくおねがいします」
「お前に、お願いされなくても見てくる・・・さっさと行けば」
「ありがとうございます」
その夜、結局は全員がその抜け道を見に行った
そして、全員がその出来に感心し
それを使った湖になんらかの思いを抱くのであった