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【イケメン戦国】私と猫と

第16章 かごの中の鳥


眠らずに酒の飲んでいた信長と光秀も、声を聞きつけ天主から足を運んできた

「湖様、湖様!」

湖と仲の良い女中が輪の中心で、湖の背中を撫でながら落ち着かせようとしている
湖は、ぶるぶると震えながら青白い顔でしゃがみ込んでいた

「御館様」

駆けつけていた家臣達が、道を開け
信長と光秀を通せば
目に入る湖の姿は、酷くおびえているようだった

「どうした」

信長が膝を付き、視線を合わせれば
湖は、ようやく人が居ることに気づいたのか
涙を浮かべて信長の袖を掴む

「・・・良い、皆はもう休め」

信長は、湖を抱き上げると光秀と共に天主へと身体を向けた

「信長様、姫様が落ち着くように・・・お茶を用意して参ります」
「解った」

湖の背をさすっていた女中が頭を下げ、台所へと向かっていく
ぽつぽつと、部屋の灯が消え
虫の声が聞える夜の時間が戻ってきた



天主へ戻った信長は、湖を下ろそうとした
だが、まるで子どものように信長から離れようとしない湖
仕方なしに、そのまま膝の上に下ろした

光秀は、部屋の外で家臣から報告を受けている
その間、先ほどの女中が湖に茶を運んできた

「お前ももう休め」

信長に、そう言われ女中は心配そうに湖を見つめた後戻っていった
代わりに、話を終えた光秀が信長の側に腰を下ろす

「何があった?」
「まずは、湖の話を聞いてみるのが良いかと」

光秀は落ち着いた様子のまま、側に置かれた茶を彼女に差し出す

「湖、飲んで落ち着け」

湖は、コクコクと首を振るとお茶を一口含んだ
こくん・・・
そんな喉の音が聞えてくる
すると、少し落ち着いたように、顔色が戻り震えも治った

「・・・で、何があった」

信長が問えば、その声が頭上から落ちてきたことに気づき、湖の顔は今度は赤く染まる
立ち上がって、膝から退こうとするものの
腰に添えられた手がそれを阻む
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