第4章 眠りの森の (裏:三成、光秀、秀吉)
「見てみるか?」
そう言い、光秀が湖を抱き上げ顔を近づけると
秀吉が急ぎ猫の体を拐って言った
「光秀っ!今は鈴ではなく、湖ならば…っ無理強いは良くない」
秀吉に抱き抱えられて、はじめて光秀がしようとしていたことに気づき
「みぎゃー!」と慌てた声が上がった
「まぁ、他の手段でも良いが痛いのも怖いのも…好ましくないだろう?」
「…湖様、羽織をお持ちしますので、戻りたいと願ってみてはどうでしょうか?」
(あ、それでもとに戻るなら一番いい!)
秀吉に下ろされ羽織の中で
もどれー!戻ってー!と願うが…
羽織の下の膨らみは、猫がバタバタもがいているだけで一向に変化がなかった
「そう簡単に制御出来ないか…」
光秀の言葉に秀吉も大きくため息をつく
「湖様と鈴様が一緒になったのは一昨日と聞きます。慣れ…というものも出てくるかもしれませんし、そのうち別々に戻られる可能性もありましょう」
三成は羽織をめくって猫の姿を確認すると、垂れた耳元を撫でた
その時、パタパタと走る音が聞こえ女中が秀吉を探している声がした
秀吉は廊下に顔を出すと、こっちだと女中を招いた
女中は慌てたように、湖が居ないことを説明し始めた
「お着物だけがあって…姫様に何かあっては…!」
青ざめ慌てている女中に秀吉は
「心配するな、湖なら…あー…風呂にいる。問題ないから…」
「ですが、お着物がっ…!」
「大丈夫だ。ちょっとした事情があってな、心配するな」
女中は秀吉にそう言われ、湖のことを秀吉に任せ下がった
「…ふぅ…さて、湖…風呂に行かねばならなくなったが…まぁそこでどうにか元に戻れ…」
(戻れって言われたって…)
「くくっ、では湖選んでいいぞ…俺達三人のうち、一人が付き添ってやろう」
「にゃ?!」
(…それって…まさか…)
「異論ありません、湖様…お選びください」
(三成くんまで?!いやいやいやっ…どうしてこうなるの?!)