第3章 先輩
現代の服を持ち、私は一度部屋に戻った
(同じような部屋が多くて、迷子になるよ…)
途中出会った家臣や女中に頭を下げ会釈してると、昨夜着付けしてくれた女中に会い着物の着方指南を頼んだ
「ふふっ湖は大事に育てられたんですね。お着物、自分で着られるのが初めてだなんて」
馬珍しげに言われ、言い訳をあれこれ考えた
(ややこしい話はしない方がいいよね…)
「…父が南蛮かぶれで、南蛮の服を着ることが多かったの…」
(これで、言い訳いけるかな?)
「さすがは、織田家縁の姫様ですね」
そんな話をしながら、脱いだり着たりを繰り返す
何度着物を脱ぎ着したのか…忘れるくらい
女中に上手になったと誉められたが、念のため一人でもう一回…と帯に手をかけたことろで、
かたんっ
そう上からの物音に見上げるれば人影が…
「っ、き…?!」
叫び出しそうなのを、いつ降りたのか口を塞がれ
「…ごめん。でも騒がれたら困るんだ…何もしないから騒がないで」
(~~何にもしない人がどうして天井から来るのよ!)
「んん~っ!」
「…お願いだから」
しらばく抵抗するも力では敵うわけなく、抵抗をやめた
湖が静まるのを男はじっと待っていたので
(…ほんとに何もしない?)
相手をじっと見た
(時代劇に出てくる忍者のみたいな服装…)
「…離すけど、騒がないで話を聞いてくれ…」
そう言うと拘束をとき距離を取り、顔を覆っていた布を下げた
それは何処かで見た顔だった
「会ったの覚えてるかな?」
「わからない…」
(見たことがある気はするけど…)
「二度合ってる。二度目は、昨日…森で」
森と言われ記憶をたどる
(信長様から逃げた後…顔に傷のある人に合って…四人組…)
「…っあの尻尾持った人の隣にいた!」
「そう。それで一度目は、雷の時に会った…」
それは湖がここに来るきっかけになった雷だ
「あの時の…?」
「君をずっと探してた、きっと一緒に時を越えたと思って」
湖にとっては 、残っているのは一瞬の光景
「でも君は俺とは違う時に降りたようだ…」
「え?」
「俺はここに来て4年になる…君は昨日だね」
「…うん」
頷くと湖は男を改めて良く見る
確かにあの一瞬の面影より、たくましくなってる気がした