第10章 敵陣の姫 第三章(裏:謙信)
■おまけ1
「謙信様が、湖を側室って・・・っ一体どういうことですか?」
幸村が信玄に食いつく
(あぁ・・・幸は、あの日は不在だったか・・・)
「まぁ・・・そんなもんだろうって話しさ。ただで織田に返すのは癪だろう?」
「そんなもんって・・・どういう・・・」
「まぁまぁ、幸村。いずれそうなればという、願望じゃないかな・・・」
佐助が横から口を出せば、幸村の顔色は更に悪くなった
(いやいや・・・まずいだろ・・・俺、湖に口づけしたよな・・・殺されそうだ・・・)
「・・・側室か・・・まぁ、湖なら良い・・・」
小声で言ったはずの声を、謙信の家臣は聞き逃さない
「殿っ!では、すぐに姫の奪還をっ!!城内の者、湖様の事について反対の者をおりませぬゆえ・・・っ殿っ!殿、どこに行かれます?!」
兼続が、謙信を追いかけてついて回る姿はしばらく目に付くこととなった
■おまけ2
「信長様!湖が、明日にはこちらに戻りますよ!!」
「知っておる。三成から知らせが来ている・・・」
安土城では、信長と秀吉が天主で三成の知らせを手に喜んでいた
「幸い記憶も戻ったようで・・・無事で良かった」
「あぁ・・・」
三成の知らせには、無事に奪還したこと。記憶が戻ったこと。今回は、上杉の意向もあり領地を出ることができたこと。
それらが簡潔に記されていた
「ただ・・・最後の文面が気になるが・・・これは、帰ってきてから聞くしかないか」
「・・・」
最後に、上杉が湖を側室であると宣言したことが、記されている
湖本人に覚えはない様子だと言うことも
「あれの主は俺だ。勝手はさせん」
気になる文面であるが、それよりも先に湖の顔を見たいと願う二人であった