第9章 敵陣の姫 第二章(裏:謙信)
一方、脱兎のごとく引き返してきた兼続は、自分の主に対する失礼を心の中で詫びながら、謙信の部屋周りの人払いをしていた
それが終わると、持っていた書簡を落とし、拳を震えるくらい強く握りしめる
(殿が・・・っ、あの殿が・・・)
「・・・っ、一筋の光が・・・」
(女子絡みの話が上がらない殿が、湖姫様と・・・っ!!!上杉家の安泰の為、ご養子を作れど、側室すら持たずに居る殿が、自室で女子を抱くなど・・・)
わなわなとふくれる感情
(姫様の出は、場内の者はすべて承知の事・・・正室には迎えられないかも知れないが、側室になら、どんな事をしても某が・・・)
「成して見せますよ!殿っ!!!」