第8章 敵陣の姫 (裏:謙信)
「ここ・・・どこ・・・?」
薄暗い部屋に、寝かされていた湖は目を開けた
手を上げれば痛みが走る
顔を横に向けて確認すれば、手桶に水が張ってある
額から手ぬぐいが落ちる
それを取った手には包帯が巻かれている
ずきずきといろんな所から痛みが感じられる
(私・・・どうしたんだっけ・・・?確か・・・)
政宗と家康と遠出に来ていた
そこで山賊が襲ってきて、ほぼ政宗達に倒された山賊の一人が湖目がけてきた
馬に乗っていた湖は急ぎ逃げたが、崖に追い詰められていた
駆けつけた政宗に山賊が倒されたが、馬が暴れ出して湖は崖に放り落とされた
(あの崖から落ちた・・・?なら・・・どうして・・・)
落ちて助かるような高さでは無かった
----------------------------------------
「湖はまだ見つからんのか?」
「まだです・・・政宗達もそのまま捜索に当たっていますが・・・」
信長と秀吉が軍議の間で話していると、三成が書状を持って入ってくる
「ご報告が・・・先ほど、家康様より湖様の着物が見つかったと」
「着物・・・まさか・・・」
「崖途中の木に引っかかっていたとのこと。おそらく、落ちている途中で鈴様に変わられたのではないかと思われます。家康様の書面にも、その他に草履や帯が見つかった事が書かれています・・・湖様は・・・おそらくご無事・・・」
秀吉の問いに答えながら、三成は最後の部分を歯切れ悪く報告を終える
「・・・鈴なら・・・あの高さでもどうにか助かるかもしれんな・・・だが」
「無傷ではないと思われます」
信長の言葉に、今度ははっきりと三成は応えた