第7章 視察 (裏:謙信、政宗、家康)
湖は、先ほどまで猫の姿だったため素肌に政宗の青い羽織を羽織っているだけ
開いた胸元からは、白い肌が見える
本人は傷の手当てに夢中で気づいていないだろうが、合わない着物の襟ぐりからはその背も見ることができる
先ほどまで、硝煙と血と酒の匂いだけが謙信の鼻をかすめていたが、今は甘い花畑のような香り
湖の香りで謙信の周りは埋め尽くされていた
「…甘いな…」
「…え?」
薬を塗っていた指が止り、謙信を見ればその顔が間近にあり湖は驚いた
驚く湖に謙信は自然に顔を傾け、湖の唇を掠め取った
「っ…?!」
湖は、動くこともできず目も閉じず、ただそれに驚いていた
謙信は、少し顔を離すと湖の腕を引き自分の胡座の中に納める
そして、顎に手を当て優しく持ち上げるとその唇を今度は深く奪った
舌が舌を絡め取る
歯茎をなぞり、逃げる舌を追い立てる
「っふ…は…」
逃げようと頭を引けば、後頭部に手を添えられ塞がれる
(っ…、謙信さま?!)
謙信の反対の手は、羽織を押さえている湖の手を避け開いた隙間からその手を忍ばせた
冷たいその手の感触に、直に肌に触れられていることに気づき身をよじるが無駄な抵抗
鍛えられた体に、そんなものは些細なことでビクリともしない
(っ…苦しい…っ)
トントンっと、胸板を叩くと謙信の唇は離れ息荒くする湖を愛おしそうに見つけていた
「はぁ…は…離して…ください…っ」
謙信の素肌の胸に手を置き、少し呼吸を落ち着けるとその胸を押し距離を取ろうとする
ところが、湖の羽織下に忍び込んだ手がするりと、その肌を撫でると胸に突っ張る手が震える
「ひゃんっ」
やわやわと、その乳房を揉み始めれば「やめて」と抵抗する湖
(…こいつの香り…だんだん濃くなる)
胸で遊びながら、湖の髪に顔を埋め深く息を吸う
一段と濃い花の香りに酔いながら
「やぁぁ…謙信さまぁ、やめて…」
「…礼がしたいと言ったな…では、礼を尽くせ」