• テキストサイズ

【イケメン戦国】私と猫と

第28章 桜の咲く頃  四幕(十二歳)


「一体なにが…?」

わけがわからない顔を見せ、まだ心配そうな表情の兼続の横で

「…血の匂い…」

と、謙信がくんと鼻を効かせる仕草をするのだ

「血?で、ござい…っっ?!」

そう言いながら、気づいた兼続は頬を染め
佐助も「なるほど」と合点した表情だ
側にいた女中達も、「あぁ」と安堵の表情を見せ「それでは、まずは身体を清める準備を致しましょう」と、湖の着物をそろえていく
にこやかな表情になった女中達は、部屋を出て行った
兼続も「はっ、では…本日は祝いをっ」とバタバタと部屋を出た

「な、なんだ?」

一人幸村だけが、理解出来ず首を傾げれば

「娘のお客御馳走に赤の飯…とは、聞いた事はあるが…これは、赤飯の用意か?」

信玄が苦笑する
「赤飯?」と、幸村が首を傾げる中

「まずは血の匂いを落とせ。湖、案ずるな」

それだけ言い、謙信は佐助と連れだって部屋を出て行った

「謙信さまのばかぁー痛いのに、心配するなってひどいーっ」
「ははっ、それだけ元気なら心配ないな。どれ、湯殿までは抱えてやるか」

羽織で包んだまま湖を抱き上げ信玄は白粉と共に湯殿へ向かう
残された幸村の目に入ったのは、褥に残った赤い血の痕

さすがに解ったのか、耳まで赤くなった幸村が部屋を出たのは言うまでもない

湖の身体が大人になった証だ
初めての生理で、出血に驚き、同時に下っ腹が痛み出す
我慢出来ない痛みでは無かったが、出血もあって驚いたのだ
致し方無い
なぜなら彼女は、数ヶ月前まで幼女だったのだ
身体は大人になっても、心まで急についてはいけないのだ

お客、新馬と呼ばれる生理について、どうすれば良いのか女中達に説明された湖
処理の方法を初め、もう子を成せる身体になったのだと説明され目が回る思いで話を聞いた
白粉は、離れること無く一緒に話を聞き終始湖の背中をさすっている
ようやく落ち着きを取り戻すも、初めての生理と下部の痛みで
目覚めた湖は、そこからまた5日ほど褥から出ずに過ごすことになった

12歳になり、半月が近付いた頃
ようやく生理も終わったと思えば

「ととさまぁ」
「駄目だ」

はぁっと、ため息をついた信玄の頭は下がったままだ
終いには、しっしとまで手を振られるのだ
/ 1197ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp