第168章 百六十八日目
運がいい事に、ウリエが誘いを断っている所に出くわした。
ちょうどジークリットと散歩に出かけるところだったらしい。
「明日、一緒に本屋へ行かないかい?」
「申し訳ありませんが」
「あぁ、少しでいいんだ。仕事が終わってからとか。」
「いえ」
「昼休みとか!」
必死に興味と良い返事を引きだそうとしている男。
ウリエはいつもの真っ直ぐな目で、きっぱりはっきりと言ってのける。
「貴方と一緒には行きたくありません。」
嫌そうな顔をするとか、作り笑顔をするとかではない。
いつもの真っ直ぐな目で言うのだ。
俺は声を殺して笑った。
あれは、部下たちも驚くだろうな。
前のウリエならやんわり断って、結局巻き込まれていただろう。
寝る前にこの時の話を持ち出して、少し褒めてやった。
・・・