第119章 百十九日目
徹夜だ。
朝、ウリエの様子を見に行ってそのまま部屋に連れて帰ってきた。
なにかもごもごと言いたそうにしていたので、聞くと
「足が痛そうです。」
と言った。
俺が足を庇って歩いている事を心配しているようだった。
人の事を心配する余裕があるなら、もう平気だろう。
「折れてはいない。平気だ。悪いが少し眠る。」
「はい、おやすみなさい。リヴァイさん。」
また、後で書く。
少し寝る。
夕方目を覚ますと、ウリエも寝ていた。
食事は部屋で取ることにした、もちろんウリエの分も持ってきた。
起こして、食事を取っていると俺の事をじっと見つめて来た。
「なんだ。」
「………あの、私は…」
捨てられるのか?
「ウリエ。良いから食え。早く腕を治してやらねぇとジークリットが寂しがっていた。」
「……。」
「腕が治ったら、厩舎で働いてもらうことにする。」
「…はたらく?」
仕事の概念が無かった。
たぶん、働いて金を貰って飯を買って食って、また働いての仕掛けがわからないんだろう。
だから、一から説明してやった。
ひとりの人間として生きるためには何が必要かも。
「……捨て、ないんですか?」
だめだ、頭が痛い。
こいつには常識が無さ過ぎる。
「捨てやしねぇ。」
とにかく腕を治せとだけ言った。
なぜ、自分を捨てないのか?
ウリエの質問の意味がわからなかった。
いや、意味がわからないのではない。
答えが出なかった。
寝る。
・・・