第1章 出会い
「澤村さん、部屋の用意出来ましたよ。……その人ですか?大雨に降られた挙句、道に迷ったっていう運の無い人。」
「ちょ、ちょっとツッキー!お客さんに駄目だって!」
「だってそうデショ?」
「そうかもだけど…!」
「月島ー、お客様の傷口に塩を塗り込むようなこと言わないの!」
「…スミマセーン。」
「すみません、あいつちょっとひねくれてるだけでそこまで悪気は無いんで…。」
「あ、い、いえ……間違ってはいないので…。」
ちょっと図星過ぎて心は痛いけども……言われても仕方ない…。
でも少し恨めしげな目で見てしまったんだろう、月島と呼ばれた金髪の黒縁眼鏡をかけたかなり背の高い彼は私と目が合うとフッと鼻で笑ってきた。
………うぅ、悔しい。
「え、えっと、あの、お部屋案内しますね!」
月島さんと一緒に来たそばかす顔の男の子が慌てて私に言う。
後に着いていこうとした時、澤村さんから声をかけられた。
「ちょっと待った。天崎さん、替えの服無いからクロークで見繕って貰った方が良いだろ。……前のオーナーの残していった服が沢山あるので好きな物を着てください。」
「え、でも………」
「遠慮なさらず。いらないと言ってましたから。山口、頼むな。」
「はい。どうぞ、こっちです。」