第1章 出会い
突然の嵐
…最悪だとしか言いようの無い状況。
突然嵐のような大雨に降られるし、一緒にいた友達とははぐれるし、お財布は落とすし、スマホは充電が切れたんだか雨で壊れたんだか分からないけど動かないし、空は真っ暗だし、いつの間にか入り込んでしまっていた林から抜け出せないし、びしょ濡れでさっきから体の震えが止まらないし…………。
「………ほんと、どうしよう…。」
正直、このまま死ぬんじゃないかと思えてくる。
まだやりたいことあったのになぁ、嫌だなぁと思うけど、体は濡れて重いし、足は泥濘んだ地面のせいで思うように進まない。
…もう駄目なのかな、そう思った時、少し先にうっすら光が見えた。
動いてるから、車?
助けてもらえるかも…!と思った私は力を振り絞って光の方へ走った。
泥に足を取られながら出た先は舗装された道路で、ホッとしたのも束の間、遠くに見えていた光がすぐ側に迫っていて…思わず目を閉じる。
このまま轢かれるのかなと思ったけど、キィィィィィッ!という甲高い音がして車は止まったらしく、慌てた男の人の声が聞こえた。