第1章 × 及川徹

「聞こえなかったフリしようてしても、無駄なんだからね！」
「もー。なにー？めんどくさいんだけど。」

「真由ちゃん！！心の声だだもれだよ！おさえて！！！」

「ﾁｯ」

「女の子が舌打ちしないのー！！」


ささっ、話の続き続き！
と、立ち上がった私を、また椅子に座らせる。


「な！ん！で！私が及川にチョコあげないといけないの？しかも、手作りで？」
「え？だって、俺、好きな子から手作りのチョコもらいたいもん！」



ん？



「俺だって男の子なんだからね！！」


え？！


「真由ちゃん聞いてるー？？」
「えええぇえぇぇぇえ？！」

「うわーーー！びっくりした。大きい声急に出さないでよ！」

耳を塞ぐ及川。

「今、何て言った？」
「え？大きい声出さないで？」
「その前！」
「俺も男の子だよ？？」
「その前！！」
「えー？なんだっけ？好きな女の子からチョコもらいたいもん？？」

聞き間違いではなかったらしい。

「好きな女の子？？」
「え？うん。」
「及川、私のこと好きなの？」
「え？！うん。」

「うそだ！」
「うそじゃないよ！」


ニヤッと笑う及川。


「知らなかったの？とっくに気づいてるかと思った。」
「知らないよ！」

「真由ちゃん、顔真っ赤だよ？」
「ーーーっうるさいっ」