第11章 壁外調査
エレン「・・・!」
中央列のみ、巨大樹の森に入る。
エレン・イェーガーはそれを不安にしか思わなかった。
なぜここへ?他の列は森に入れないなら、どうやって巨人を見つける?
エレンは周りの兵を見渡す。
自分が新兵だから、この状況を読み込めていないのではないかと思って。だが、周りのリヴァイ班の人々の表情は悪い。
動揺を隠せていない表情をしている。
エレンからはリヴァイの表情を読み取る事は出来ないが、横にいたユリアの表情だけは、誰とも違っていた。
ユリア「・・・ふぅん。なるほど、ね。」
彼女だけは、余裕のある表情で、自身が跨る狼の毛を撫でていた。
エレン「ユリアさん・・・!あの!」
ユリア「来るわよ。」
スッとユリアが剣を抜いた瞬間、すぐ後ろで黒い煙弾が上がった。
エレン「!黒い煙弾!!」
エルド「右側から来ていた何かだな・・・!」
リヴァイ「お前ら剣を抜け。」
リヴァイ班全員がハッとした顔でリヴァイを見る。
リヴァイ「ソレが姿を現すとしたら、一瞬だ。」
兵士が姿を現したと思ったその瞬間。
その兵士は大きな手によって叩き潰された。
女型の巨人が姿を現したのだ。
エレン「っ!!」
リヴァイ「走れ!!!」
エレンは巨人と目が合うと、思考が停止した。
女型は笑っていた。
グンタ「このままじゃ追いつかれるぞ!!」
ペトラ「兵長!!立体機動に移りましょう!!!」
しかし、リヴァイは返事をしない。
後方から増援が来るも、あっけなく潰されてしまった。
ペトラ「・・・!兵長っ!!!指示を!!!」
オルオ「やりましょう兵長!!!アイツは危険です!!!俺達がやるべきです!!」
ユリア「・・・うるさいわね。」
ボソッと呟いたユリアの声は、リヴァイにしか届く事はなかった。
リヴァイは動揺している班員の方へと顔を向けた。
リヴァイ「全員、耳を塞げ。」
エレン「・・へ・・・?」
パァンッと放たれた弾は、森中に木霊した。
音響弾だった。