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人外王の花嫁

第3章 獣の王


獣人の交尾は長い。雄の射精が長いからだ。でも普通は射精された雌は仕事を終えたと本能的に判断するのか、雄と距離を取りたがる。
それを宥めて子宮を満たすまで我慢させるのが雄の仕事。だから満たすと早々に雌は逃げていくし、雄の熱も冷めて射精も自然と止まる。

はずなのだけれど、私が人間だからなのか何なのか。精液が媚薬のような効果を果たしてしまい、私に快感を与えているらしい。それを見たラウルフ様は喜んでまた中へと注ぐと言う図が出来上がってしまった、とサナのおじいさんであるお医者様が言った。

「しかも、ラウルフ様は王で御座います故。精力も精子の量も常人とは違うのでございましょう」

そう締め括ったサナのおじいさんはチラリとこちらへ視線を向けた後、ゴホゴホンと態とらしく咳払いをして慌てて視線を外した。

一度は部屋を追い出されたものの、今後の話し合いの為にと戻って来たシーザーさんもこちらを気にしながらも必死で見ないようにと視線を外している。

「ラウルフ、お前その…何とかならないのか?」

視線を反らしたままのシーザーさんの問い掛けにラウルフ様が何かを探るように暫く黙り込んだ。そして大きく吐息を付いた。

「あー、駄目だな。止まんねぇ」

ラウルフ様の言葉にシーザーさんも大きな吐息を付いた。どうするかと皆で困っていたところでラウルフ様が口を開いた。

「しょーがねぇ、今日はこのままで過す」

「いや、過ごすって言ってもなぁ。仕事は?」

「休む」

言いきった自室の執務机の前に座るラウルフ様の膝に、もれなく私が座り凭れていた。ラウルフ様の様子に吐息を付くシーザーさん。

「休むって、ラウルフ。お前、ちゃんが来てからあまり仕事して無いからかなり溜まってるんだぞ?」

「それよりの方が大事だ」

きっぱりと言い切ったラウルフ様が私に視線を向けた。胸元に頬擦りすると、ラウルフ様の顔が緩んだ。

「っ!あーっ、全く!分かったよ!でもな、今日が期限のものはちゃんとやって貰うからな!?」

分かった分かった、と面倒そうに返事をするラウルフ様を私はボーッと見上げていたのだった。
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