第3章 獣の王
「んっ、あぁッ」
高ぶりが私の中を動く度に甘い痺れが走る。私は快感に体を捩った。
「あっ、はぁッ、ラウルフ様、激しっ」
私の好きな場所を見付けたラウルフ様は、そこを頻りに突いてくる。優しい動きも今では突き上げられて体がずり上がる位に激しく苦しくなっていた。
「あっ、あっ、ラウルフ様、ぁ」
「グルルルル…」
低い唸り声が聞こえて私は我に返った。揺さぶられながら見上げると、ラウルフ様はギラギラと獲物を狙うような瞳に今にも飛び掛りそうな鋭い歯を剥き出しにしていた。
「ラウルフ、様?」
「っ、…」
名前を呼ぶとラウルフ様の瞳が揺れる。
「ッ、俺は、オレ、は…」
頭を振って苦しそうに私の名前を呼ぶラウルフ様。
「可愛い、可愛い…俺の、俺の…俺の、俺の…」
荒い呼吸の中でラウルフ様が自我をとどめようと頑張っている。それでも本能には勝てないのか苦しそうにグガァと吠えた。
「、っ、シーザーを、呼べ、シーザー…」
私はシーザーさんを呼べと言うラウルフ様の言葉に頭を振った。
「嫌です!」
「早く、シーザーを…くそっ、シーザーぁぁぁ!」
「駄目!来ないで!!!」
シーザーさんを呼ぶラウルフ様に、私は扉の向こうに居るだろうシーザーさんに叫んだ。
「可愛い、カワイイ、逃げ…ぅッ、カワイイ、可愛い…、俺の、俺のッ…」
ボタボタと唾液が落ちて来た。そしてラウルフ様の瞳から理性が消えると大きく口を開けた。
「グガァァァ!」
「っ!?」
ラウルフ様の鋭い牙が私の肩に食い込んだ。皮膚が破けて、血が溢れ出して痛みが走る。でも私は悲鳴を飲み込んだ。ここで叫んでしまったらシーザーさんが中に入って来ちゃう。
私は痛みに震えながら手を上げた。そしてラウルフ様を怖がらせないようにゆっくりと、優しく手を回した。
「ラウルフ様、ラウルフ様…好きです」
ギリリと牙が更に奥を抉ってくる。
「ラウルフ様、大好き…」
私を子供だと思い込んでたり、少しおっちょこちょいなところも有るけれど優しいラウルフ様。そして頼もしくて強くて、可愛らしいところも有るラウルフ様。
私は心を込めてラウルフ様を強く抱きしめた。