第3章 獣の王
「食べても良いですよ」
ラウルフ様を抱きしめながらそう言うと、ラウルフ様が驚いて顔を上げた。目が合って私は慌てて付け足した。
「あ、でもでも、全部は駄目ですよ?ちょっとだけ…だってほら、私って少しくらいなら無くなっても生えてくるみたいですし?」
相変わらず驚いた表情のままのラウルフ様に肩を竦めて見せる。
「でも、お前がもし壊れちまったら…」
心配するラウルフ様の鼻先に、私はキスをした。
「私はそんなにやわじゃないです。きっとラウルフ様より体は丈夫ですから!」
胸を張りながら思いっきり得意気に笑って見せた。すると呆気に取られたラウルフ様が大きく吹き出して笑い出した。
「そう、だな…お前、あの悪魔のモン中に入れたんだもんな…」
あいつのは極悪らしいからな、とラウルフ様が私の下腹部に手を当てた。私は一瞬訳が分からなかったのだけれど、段々とラウルフ様の言っている事が分かって顔が熱くなって来た。
悪魔と言うのはきっとアダマンド様の事で、要するにアダマンド様のあの凄く凄く大きなあれを私の中に入れてセックスしたのだろう、と言っているのだ。
「あ、あの、それは…まだ…」
「まだ?」
ラウルフ様が不思議そうに首をかしげて、更に恥ずかしくなった。
「ですから、その、中には、まだ、入れた事が、なく、て…」
その言葉にラウルフ様がぽかんと口を開けた。
「入れた事が無いって、それじゃ、アレか?!俺がお前に突っ込んだのが初めてって事か?!」
露骨な言葉に私は真っ赤になりながらも頷いて見せた。
「…………」
恥ずかしさに視線を外して俯いていたものの、ラウルフ様からの反応が無くて心配になってしまった。
もしかして嫌だったのかな?
そっとうかがう様に顔を上げるとラウルフ様が震えていた。
「あの、ラウルフ様?」
戸惑って声をかけると、徐にラウルフ様が空へと向かって吠えた。
「ワオオォォォォーーン───」
吠えたラウルフ様の尻尾が千切れそうな位に勢い良くブンブンと振られている。
「本当か?俺がお前のここに入るの初めてとか、本当に本当か?」
そう言ってラウルフ様が私の下腹部を撫で回す。私は勢いに気圧されながらも頷いた。
「は、はい、その、アダマンド様とは色々としました、けど、まだ中には…」
そう口にした瞬間にラウルフ様に強く抱き締められた。