第3章 獣の王
「ラウルフ、お前ちゃんとまだ交尾してなかったのか?」
シーザーさんが驚いた様子でラウルフ様に問いかけた。ラウルフ様はサナとシーザーさんの言葉に不満そうにしている。
「当たり前だろうが、俺はロリコンじゃねぇ!」
「ロリコンって、ちゃんは子供じゃ無いんだよ?」
「はぁ?はまだ子供だろうが!」
こんなにちっせぇ、とラウルフ様が私のそばに来て頭をポンポンと叩いて見せる。その様子にシーザーさんが呆れたような吐息をついた。
「ちゃんは子供じゃ無いよ。ったく…だから、ちゃんとちゃんが来る前に人間の事勉強しとけって言ったのに…」
「何を言っている、ちゃんと勉強したぞ!」
ラウルフ様が執務室の机をごそごそと漁りだした。
「勉強して、子供だったから肉を沢山食わせてしっかり成長させようとだなぁ…おぉ、有った有った」
ラウルフ様が執務室の机の中から雑誌を取り出した。そしてそれを捲ると、得意気に私たちに見せてきた。
「大人ってのはなぁ、こんなんだろーが!」
バーン、と見せられたページにはグラビアアイドルの水着姿の写真が載っていた。大きな胸を腕で寄せ谷間を強調するポーズで『期待の新人グラビアアイドル、巨乳16才!』と書いてあった。
16才…
「………ラウルフ様。私、18才です」
私の声が低くなってしまったのはしょうがないと許してほしい。
「……馬鹿」
私の言葉で固まってしまったラウルフ様の様子を見たシーザーさんが呟いた。
「様、夕御飯です」
ラウルフ様の様子に流石に怒った私は部屋に閉じ籠った。サナはそんな私を、ラウルフ様は怒られて当然です、と応援してくれている。
運ばれてきた料理を目にして、私は驚いてサナを見た。すると、サナが困ったように笑って見せた。
「申し訳ございません、シーザー様から聞きました。人間は肉だけでは駄目なのですね」
今日はお魚にしましたから、と白いご飯に魚のあら炊きにお刺身、サラダにお漬け物とお肉だけのメニューから変わっていた。
私はその献立に表情を緩めると、頂きますをして食べ始めた。
「…美味しい」
そう口にした私の様子にサナが安心したように笑った。