第3章 獣の王
その日は余り眠ることが出来なかった。朝眠そうな私を見てラウルフ様がとても心配して、仕事に行かずに私のそばに居ると言い張ったのだけれど、シーザーさんに引きずられて仕事に出かけて行った。
サナが私を心配してくれて、私はどうしたものかと迷ったのだけれど相談する事にした。
「あの、サナ」
「何ですか様?あぁ、もしかして昨夜の交尾で体が痛みますか?」
なら医者を、と慌てるサナに私は頭を振った。
「あのね、そうじゃ無くて…私って子供に見える、のかな?」
私の問いかけにサナが赤い目を瞬いた。
「そのね、一応私は18歳で…人間の世界では結婚も出来る歳なのだけど」
「ええ、そうですね。確かに私達獣人から見ると様はとても小柄ですが、アダマンド様が様がお約束のお歳になられたのでこの世界にお招きしたのだと聞いています」
「でも、その、ラウルフ様は私が子供みたいだから…気にされてるみたいで…」
サナが不思議そうに首をかしげた。そして何か思い付いたのか、眉間に皺を寄せる。
「様、ラウルフ様と交尾されてるんですよね?」
私はサナの問いかけに、どうしたものかと迷った後、素直に頭を左右に振ったのだった。
「待って!サナ待って!」
私の返事を聞いたサナが突然怒り出して、部屋を飛び出した。私はその後を追いかける。
「ラウルフ様、失礼致します!」
立派な扉をノックして返事も待たずに中へと入るサナ。中では二人で何か仕事の話でもしていたのか、ラウルフ様とシーザーさんが突然の事に驚いてこちらを見た。
「ラウルフ様、どう言うことでございますか!」
「何だ、何の事だ?」
怒ってラウルフ様に詰め寄るサナの様子に、ラウルフ様が戸惑ったように私へと視線を向けてきた。私は慌ててサナの服を引っ張る。
「サナ、駄目だよ!」
「いーえ!ちゃんとどう言うことか説明して頂きます!ラウルフ様は様の何がご不満なのですか!?」
サナの問いかけに、何の事だと不思議そうなラウルフ様。
「いや、不満など無いが?」
「なら、どうして交尾なさらないのですか?!様がお可哀想じゃ無いですか!」
サナの露骨な言葉に私は真っ赤になってしまった。