第3章 獣の王
夕食もやっぱりお肉だけで、更に食べる量が減ってしまった。心配するサナに大丈夫だからと笑って見せた。
「おう、入れ」
昨夜は遅いと怒られたので少し早めにラウルフ様のお部屋にやって来た。サナが、ラウルフ様は早く様にお会いしたいのですね、と言っていたけれど違う気がする。
「今日は早く来たな、よしよし。こっちに来い」
手招きされるままにベッドへ二人で寝転んだ。ラウルフ様が甲斐甲斐しくかけ布団をかけてくれる。
「ガキは早く寝るもんだ。早く寝ないと育たねーからな。それにサナから聞いたぞ、飯をちゃんと食ってねーって。ちゃんと食わないと駄目だろーが」
ラウルフ様が成長とは何たるか、切々と私に言い聞かせる。
「…って事で、ちゃんと飯は食え。ほら、わかったら寝ろ」
ラウルフ様の尻尾が私を包み込んだ。大きな手が私を眠りへと誘うように軽くリズムを取り叩く。あれ、今日も何もしないのかな?
「あの、ラウルフ様」
「んー、何だ?」
ラウルフ様も目を細めて眠そうにしている。私が話しかけると、寝ろとばかりに深く抱き込んで髪に鼻を埋めて来た。
「あの、その…せ、セックスし、しないのですか?」
「っ?!」
眠りに落ちそうになっていたラウルフ様が驚きに目を開けた。
「はぁ?!何でだよ」
「え、だって、私はその為に…」
「もしかして、あの悪魔野郎はお前に触ったのか?!」
肩を掴まれてガクガクと揺らされた。ラウルフ様が何でそんなに驚いているのか私はわからないけれど、アダマンド様とは確かにちょっとエッチな事したし。頷くとラウルフ様が鼻の頭に皺を寄せた。
「ここも触ったのか?!」
「はい」
胸に手を当てられて、頷いた。そしてその手が私の腹から下腹部に這った後、指で割れ目へと触れた。
「ぁ!」
「ここにも触ったのかあいつは?!」
「っ、は、はい」
私が返事をすると、ラウルフ様は手で目元を覆い「何て事だ!」ととてもショックを受けた様子で天井を仰いだ。
「あの悪魔野郎、変態だろうとは思っていたがロリコンだったとは思わなかったぜ…」
ロリコン?あの小さな子供が好きとかそう言う?何だか彼は盛大な思い違いをしている気がする。
「大丈夫だ、俺は子供には手を出さねぇ。安心しろ」
そう言われて私は理解した。
ラウルフ様、私を小さな子供だと思っているんだ。