第3章 獣の王
「おぉ、似合うじゃないか」
お風呂からあがってサナが髪を結ってくれた。そして白くてフワフワのミニスカートを着せて貰い、ラウルフ様の待つ食堂へと案内される。
似合うと言われて、恥ずかしかったけれど嬉しい。スカートの短さが気になって頻りにスカートの裾を引っ張った。
「有り難うございますラウルフ様」
「よし、悪魔の匂いも抜けたな」
満足そうに頷いたラウルフ様が私を手招きした。そして椅子に座らせると、得意気に胸を張った。
「どうだ!お前の為に用意させた」
テーブルの上には、何かの肉の煮込み料理に何かの肉の丸焼き、そして何かの肉の揚げ物に何かの肉の…とにかくお肉ばかりだった。
「お前にはしっかり食って貰わないといけないからな」
さぁ食え、と期待に満ちた眼差しを送られるとお肉ばかりで胃がもたれそうですねとは言えず、私は手を合わせて頂きますと挨拶をした。
そして口へと何かの肉のを運ぶ。何のお肉かはあえて考えない。食べられるだけ幸せ幸せ。
「んんっ、美味しいです!」
何かのお肉は意外と美味しかった。多分…鳥の様な気がする。噛み付くと中からジュワリと肉汁が溢れて、でも油っこく無くて。とっても美味しかった。
「そうかそうか、美味いか!」
得意気に笑ったラウルフ様の尻尾がフサフサと揺れている。そしてラウルフ様も席につくと、一緒にお肉を食べ始めた。
「、これも食え」
「はい!」
「それも美味いぞ、食え」
「はい!!」
私は言われるがままにお肉を口へと運んだ。こんなにお肉を沢山食べられる機会なんてめったに無いもの。私は有り難く存分にお肉を堪能させて貰った。
でも、流石に限界はある。
「うう、苦しいです、ラウルフ様…」
「何だ、もう腹いっぱいなのか?」
だから小さいんだぞ、と言われてすいませんと謝った。でも本当にお腹は満杯だ。そんな私の前でラウルフ様が私の三倍の量は食べている。うう、見ているだけで苦しい。
私は口元を押さえてさりげなく視線を外した。
「さて、食ったな?食ったら俺がこの国を案内してやる」
立ち上がったラウルフ様に慌てると、私は急いでご馳走さまを済ませて後を追った。長い足のラウルフ様を追いかけるのに、どうしても小走りじゃ無いと追い付かない。
私は一生懸命ラウルフ様を追いかけた。