第2章 悪魔の王
その後、お腹は空いていたものの流石に食べることは出来なかった。アダマンド様は私を自分の部屋に連れ帰ると、ベッドに腰掛けた。私を膝の上へ座らせると、私の頬へとかかる髪を避けてくれた。
「すまなかった。私がもっとそなたの様子に気を配っていれば…」
「アダマンド様…アダマンド様は、私にとても良くして下さいました」
意識を失っている間に二日間経ってしまった。もう、今夜がアダマンド様と過ごす最後の夜だ。
「アダマンド様、私、私を、抱いて、下さい…」
私はアダマンド様に抱き付いた。自分から言うのはとても勇気が要った。恥ずかしくて頬が熱い。アダマンド様が驚いて息を詰めた。
「…」
私の腿にアダマンド様のものが当たった。風呂場で触れた、あの硬くて大きなもの。それが興奮を隠すことなく自身を主張していた。
けれど、アダマンド様は歯を食い縛って耐えた後、何かを振りきるように大きく吐息をついた。
「、とても嬉しい。だが、内臓の大半を失ったのだ。そなたの中はまだ再生の途中であろう。無理はさせられぬ」
「でも!」
「…駄目だ」
そう強く言われて私は何も言えなくなって押し黙った。アダマンド様は唇を噛み締める私の脇に手を差し込み抱き上げると、彼の足に跨がるようにと体勢を変えた。私のお尻の下で興奮したままのアダマンド様が脈打っている。
「こうして、互いを感じながら過ごすのも悪くは無いだろう?その代わり…次に会った時は容赦せぬ」
熱っぽく口にしたアダマンド様の瞳に、欲望の炎が見えて私は喉を鳴らした。
アダマンド様を私の中で感じることは出来ないけれど、私はとても幸せだった。
とっても綺麗で優しいアダマンド様。
でも私を襲った悪魔を殺したときのアダマンド様は本当にテレビや物語に出てくるような悪魔のイメージそのものだった。
私はそんな彼に惹かれた。
その日はアダマンド様が体を清めてくれて、食欲が無いと言うとジュースを用意して下さった。私の全てをアダマンド様が面倒を見てくれた。
夜は二人で抱き締めて眠った。色々と夜遅くまで話をした。ほとんど私が話しているだけなのだけれど、アダマンド様は優しく耳を傾けて下さった。
そうして、悪魔の王との一週間は終わりを迎えたのだった。