第6章 蜥蜴の王
「ん、はぁ、はぁ…」
気を失いそうなほどに気持ちが良かった…。イけないことが苦しくて、我慢して我慢してやっと達した時の快感は堪らないものだった。
体から力が抜けて、呼吸を整える。達した事で私は僅かに正気を取り戻していた。
「ぁ、ごめ、なさい…」
「………」
私は呼吸を整えながら、戻って来た正気に羞恥を感じつつキドラさんに話しかけた。
「キドラさん?」
けれども、返事は無くて机に縛り付けられたまま動けない私はキドラさんの様子を確認する事も出来ない。
「キドラ…さん?」
不安になってもう一度名前を呼ぶと、背後でキドラさんが動く気配がした。キドラさんの様子がおかしい。私は自分が放つ香りの事を思い出して息を詰めた。
「ギャオオオオウ!」
「?!」
大きな恐竜の様な鳴き声が響いた。周囲をビリビリと震わせる程の咆哮。そしてフーッフーッと荒い息遣いが聞こえて血の気が引いた。振り向いて確認出来ない事がまた恐ろしい。
「っ、ひぃッ」
私は必死で体を捩った。体を捻り小刻みに揺らし、何とか私を机に縛り付ける縄から逃れようとするものの、縄はなかなかに緩んでくれない。
早く、早く逃げないと…
私が媚薬で意識が薄れる中、カサドラさんに飲まされたもの。あれはきっと私を妊娠させる薬だ。
「に、逃げ、なくちゃ…」
嫌な想像に体がガクガクと震え出す。擦れて血が滲むのも気にせず私は必死で縄から逃れようとした。
「っひ!」
キドラさんの暖かな息が私の尻に当たった。フンフンと匂いを嗅がれてゾワリと鳥肌が立つ。私は身の危険を感じて更に激しく体を動かした。でも机がガタガタと音を立てるだけで紐からは逃げられない。
「や、だ…やだぁ…」
やだよ、このままじゃ…このままじゃ私…
私は涙を零しながら、何とか逃げようと必死だった。キドラさんが背後から覆いかぶさって来る。私の顔の横についたキドラさんの手の力に負けて木で出来た机にミシリとひびが入った。
「…キ、ドラ、さん…キドラ、さん、正気に戻って下さい!」
私にピッタリと体を擦り付けてくるキドラさんが、私のお尻に硬いものを押し付けて来る。それはやけにゴツゴツとしていてまるで岩の様だった。
「キ、ドラ、さん…お願い…です。止めて、くださ…ッ?!」
キドラさんがまたギャアウと大きく鳴いた。するとその熱い塊が私の中へと突き刺さった。