第5章 魔物の王
「ルナール、さま…」
ルナール様がヨロヨロと私に近付いて来る。
「甘い……甘い匂い…」
歩く度にボトボトとルナール様が溶けて、床がジュッと焼けて溶ける。私は何とかうつ伏せになるとルナール様から距離を取ろうと這った。でも体に力が入らなくて上手く動けない。
「ルナ、ルさま、正気に、戻って…」
ルナール様がベッドに手をかけた。
「ルナール、さま、ルナ、ル、さっ…キャア!」
上からポトリと滴が落ちた。それは私のネグリジェに穴を開けて肌を焼いた。その痛さに私は叫ぶ。
「いやあァ!」
次いでまたルナール様が動いた。するとまたボタボタと滴が落ちて来て私の肌を焼く。私は何とか逃げようとベッドの上でもがいた。けれど、ギシリと音が鳴りうつ伏せになった私の顔の横にルナール様の手が置かれた。
逃げない様に囲まれてしまい、私はルナール様を振り返った。
「ひぃ」
喉から恐怖に引き攣った声が出た。振り返ったルナール様の髪が、お顔が、肩が…溶けて今にも私に振り注ごうとしていたのだ。
私は慌てて私を囲うルナール様の手を除けようと自分の手を重ねた。
「っ!」
するとルナール様の手に触れた途端、私の手がジュッと焼けた。その痛みにまたもや叫んでしまう。その合間にも、ポタポタと落ちる液体が酸のように私の背中を焼く。
「いっ、ひっ…痛い、よぉ…」
私はベッドにすがり付いて体を恐怖に震わせた。ルナール様がクンクンと匂いを嗅ぐ仕草をしながら、段々と下へと下がって行く。そして私の下部まで移動して動きを止めた。
「甘い…ここ…」
ルナール様の手が私の足を掴んだ。ジュッと焼ける痛みに私は顔を涙だけでなく涎や鼻水でグシャグシャに汚しながら叫んだ。
「やあぁァ!痛い!痛い痛い!」
暴れてもルナール様の手は私の足を離してはくれない。それどころか、強引に私の足を肩へと担ぐと私の股間に顔を埋めたのだ。
「キャアァァ!」
そしてピチャピチャと舐め始めるルナール様。その舌が触れると下着は焼け落ち、舌で探る様に秘部を舐められると私のそこも焼けて行く。
「いっ、ひィッ、も、やめ…お、ねが…」
「甘い…甘い………」
一心不乱なルナール様に私の声は届いていない。私の手や足は既に焼けて溶けて、骨が見えていた。
もう堪えられない…
意識を失う直前、扉から飛び込んでくるナグル様が見えた。