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人外王の花嫁

第5章 魔物の王


お風呂でしっかりと磨かれた私には、それはもうフリフリでとってもミニな白いセクシーネグリジェが用意されていた。それを恥かしいながらも着て部屋へと戻った。

「…ですから、しっかりと様と交尾をですな…っと、おぉ、様お疲れ様でございました」

ナグル様がルナール様と部屋の中で話していた。私の姿を見ると慌てて口を閉じて、いそいそと扉へと向かう。

「ルナール様、分かっておりますな?必ずですぞ?」

何が必ずなのか分からないけれど、ルナール様は面倒そうに吐息をついた。

「ではでは様、素敵な夜をお過ごし下さいませ。明日はゆっくりのご起床で構いませんからな?」

むふふ、と妙な笑いを残して去って行ったナグル様が居なくなって私は肩を竦めた。

「ナグル様は、何だか…とてもパワフルな方ですね」

コックリと頷いたルナール様の困った様な表情に少し笑ってしまった。

「ルナール様、もう寝られますか?」

「……本読む」

「じゃあ、私にも何か本を貸して下さい」

コックリと頷いたルナール様が、備え付けの本棚から一冊の本を取り出した。そして私へと差し出した。私はそれを受け取ると、表紙を開いてみる。すると、そこには綺麗な人魚の絵が描かれていた。

「わぁ、素敵な絵ですね」

「…これで、良い?」

「はい!」

私とルナール様は二人してベッドに上がると、ベッドヘッドのクッションに背中を預けながら本を捲った。
ルナール様の選んで下さった本は童話の様で、人魚とスライムの王子様と蜥蜴の悪役が出てくる物語だった。絵がほとんどだから、私でも楽しめる。
ルナール様は何を読んでいるのだろうかと覗き込むと、文字ばかりが書いてある本だった。

「蜥蜴、の…王、さ、ま…人間…かう…」

「…狩る、だよ。読める、の?」

「少しだけ」

私は自分の本を閉じると、先日から気になっていた事を聞いてみる事にした。

「ルナール様、質問しても良いですか?」

「?」

ルナール様が首を傾げながらも頷いてくれた。

「蜥蜴族って…何ですか?」

虫の国で見た本にも蜥蜴族の事は余り良い様に書かれていなかった。そして私がさっきまで読んでいた本でも、蜥蜴族が悪役になっていた。そして街で迫害され医者にすらかかる事が出来ない蜥蜴との混血であるメギさん。
そんな蜥蜴族って一体何なのだろう。
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