第4章 虫の王
「栞、持っててくれたんですね…」
「ん?起きたの?」
小さく呟いた声が聞こえたのかキリヤ様が本に栞を挟ん脇へと置いた。何だか難しそうな本。私がその本をじっと見ていたのに気付くと、キリヤ様が本を開いて見せてくれた。それは文字ばかりでしかも私が見た事も無い文字。
「これは昔の文字だよ。今は使われてない」
には読むのは無理だね、と笑われて不満そうな顔を作りながらも確かに私には無理だと内心同意した。
起き上がると吹いた風の寒さに体を震わせた。結構時間が経っていたらしくて、日が沈みかけている。
キリヤ様が身震いした私を引き寄せて胸に抱きとめた。二人でマントを被ると暖かい。
「寒い?もうちょっと我慢して。に見せたいものがあるんだ」
「見せたいもの?」
「うん、見てからのお楽しみ」
楽しそうなキリヤ様のお顔を見て、大人しくしている事に決めた。もそもそと体を反転させてキリヤ様の前に座る。すると後ろから抱き込むように手を回してくれた。
その手がゆっくりと下がって来て、私の胸へと触れた。
「っ?!」
「無防備に寝ちゃってさ?あの体勢じゃキスも出来ないし」
不満そうに口にするキリヤ様の手がもみもみと私の胸を揉んでいる。
「あ、あの、あの…っ」
突然の事にどうすれば良いのか、顔を赤く染めながら戸惑いに自分の手をキリヤ様の手へと重ねた。それでもキリヤ様の手は止まることは無くて、持ち上げた乳房を寄せてみたり大きく回し動かしてみたり。
「っん」
だんだんと息が上がってくる。キリヤ様が私の耳元へと唇を寄せた。
「は、何の花が好き?」
「花、ですか?」
「そう、花」
キリヤ様の指先が服の上から乳首を引っ掻いた。
「っ?!ん、チリの、花が…」
「うーん…チリ以外」
「で、では、あの、白い小さな花で、林檎みたいな、匂いのする…」
「あぁ、ロウムの花?」
キリヤ様が平然と会話をしながら私の服のボタンを外してくる。そして外したボタンの所から手を差し込んで私の胸へ直に触れた。
「ロウムの、花?」
「うん、中庭に咲いてた奴でしょ?」
「は、はい…」
あの花はロウムと言うのか。私の持ってる髪飾りの花にも似てる。
「なら、今度育てるのはその花にしよう」
「ひぁっ!」
笑いながらキリヤ様が私の耳へ舌を差し込んだ。