第4章 虫の王
「準備出来た?」
「……」
私は頬を膨らましてキリヤ様に無言で抗議する。
「もう、まだ不細工な顔してるの?元に戻らなくなっちゃうよ?」
だって、キリヤ様が悪いんだもの。昨夜の精液を中から出そうとしたら、自分がやるって言い出して…結局はまたキリヤ様のものを入れられて中に精液を出されてしまった。
「しょうがないでしょ、を見てたら興奮しちゃったんだから」
ほら行くよ。と手を繋がれて歩き出す。でも本当は最初から怒ってない。恥ずかしくて怒った振りをしてたの。だから手を繋がれると嬉しくて笑ってしまった。
メイドさんに服装を整えて貰った。出来上がったのは旅人風な服。茶色の厚手の生地のワンピースを腰紐で縛って、ロングブーツをはいた。同系色のマントを肩から羽織ってポニーテールにすると出来上がり。
キリヤ様も全体的に茶色と黒の装いで、マント姿。腰には剣を下げて帽子でお顔を隠してる。
私達はお城を抜け出して、オルガに一度連れて来て貰った市へと足を向けた。変な人たちに絡まれた思い出があるから、ちょっぴり怖くてキリヤ様の腕にしがみついて周囲を警戒してしまう。
入り口の辺りにはあの蜂蜜を売るおばさんが居た。
「そこの虫さん、蜂蜜はどうだい?うちの蜂蜜は絶品さ!何たってうちの蜂蜜はあのキリヤ様もお好きなんだからね」
「知ってるよ」
キリヤ様が足を止めると、おばさんに悪戯っぽく笑って見せた。
「んまっ、まぁまぁ!キリヤ様!」
大きな声で名前を呼んで慌てて自分で口を抑えたおばさんに私は笑ってしまった。
「久しぶりだね」
「ええ、王妃様を迎える準備がお忙しいと聞いて…王妃様…王妃様?!」
キリヤ様の腕にしがみついている私を見てまた大きな声を上げた。
「そう、僕のお嫁さん」
キリヤ様が慌てること無く肯定する。
「えっ、何だよキリヤ様が来られたって?」
「王妃様を連れて来たらしいよ?」
おばさんの大きな声で周りにバレてしまって大騒ぎになり慌てる私を見てキリヤ様が笑っていた。
「ミツ、何時もの蜂蜜を城に五十個程届けておいて。後は…これ貰って行くよ。今から昼食がてら虫達にも挨拶に行くんだ」
そうキリヤ様が言うと、これも持って行って下さい、と焼き立てのパンに飲み物。お惣菜とかお菓子等が一気に集まった。凄い。
お礼を言って私達は空へ飛び立った。