第4章 虫の王
「っ、はぁ、はぁ」
キリヤ様が眉間に皺を寄せて苦しそうにしている。私を押し倒しながらも、未だに自分の欲望を抑え込もうとして辛そうに汗を滲ませていた。
「種を…」
彼の手が私の下腹部へと添えられる。
「僕の種を、ここ、に…っ」
自分が口にした言葉に後悔か顔を歪めるキリヤ様。足に硬いものが当たって私はそちらへと目を向けた。それはキリヤ様の下腹部で、以前に見た男の虫人と同じ様に瘤が出来たように膨らんでいた。
そこに切れ目が入ったかと思うと、ズルリとキリヤ様の性器が出て来た。
私はそれを目にして息を飲んだ。前に見た虫人のものは円柱形の表面が滑らかなものだった。けれどキリヤ様の性器は球体を連ねた様な、そんな形をしていた。珠を連ねたその先には針のような尖りが有って、そこを軸にクネクネと触手のように動いている。
「くっ、そ…さい、あく…」
苦しそうなキリヤ様が唇を噛み締める。牙が唇を傷付けたのか血が滲んでいた。必死に堪えるキリヤ様は小さく震えていて汗がポトリと私の上へと落ちた。
「キリヤ様…」
「お前、今のうちに、逃、げな…助けをっ、呼んで、僕から、逃げ…」
はぁはぁ、と荒い息をついて苦しそうなキリヤ様。逃げろと言われても、私はそんなキリヤ様を放っていく事なんて出来ない。
ヌルリと滑ったキリヤ様の性器が私の入り口へと添えられた。刺のような尖端からはポトポトと精液が滴っている。
「何して、るの、早くッ、じゃないと、僕はお前を挿し殺し……っ」
私はキリヤ様に抱き着いた。恐かったけど、でも、こんなキリヤ様を放っては行けないもの。私は大きく息を吸い込むと、キリヤ様に笑って見せた。
「こんな辛そうなキリヤ様を放って逃げるなんて…出来ないに決まってます」
「っ!?」
キリヤ様が息を詰めた。そして私をギュッと苦しい程に抱き締めた。必死でキリヤ様が自分を抑えているのが分かる。
暫くして、段々とキリヤ様の呼吸が落ち着いて来た。瞳の色も薄くなって何時もの黄色い色が戻って来る。
「っ、はぁ、はぁ…お前って…」
キリヤ様が苦しそうな呼吸の合い間に口を開いた。
「お前って本当に…馬鹿でお人好しだよね…気を付けないと死ぬよ?…」
しょうがないから僕が護ってあげるけど、と口にしたキリヤ様はすっかり元に戻っていた。私はそんな彼に名前を呼ばれて抱き着いた。