第4章 虫の王
キリヤ様の目の前に私の秘部が曝されている。その事に顔が熱くて仕方が無い。
「やぁっ」
「ちょっと、動かないでよ!」
怒られて唇を引き結んだ。キリヤ様は私の腿に手を当てて更に押し開きながら、まじまじとそこを観察して来る。だって、さっきまで触ってたからまだそこはヌルヌルしてるしキリヤ様に見られていると思うとひくんと動いてしまう。
「赤く充血してるね。それに…濡れてる」
「っ!」
私は更に顔を赤く染めた。また暴れ出した私の足を押さえ込み、キリヤ様がクスクスと笑う。私に向けられた瞳に、さっきまでここを自分で弄っていたんでしょ?と言われてるみたいで恥ずかしい。
「ここ…」
キリヤ様が屈んで顔を近付けた。息がかかってまたひくんと動いてしまった。それを見たキリヤ様がそこへと手を伸ばす。
「ここから良い匂いがするんだよね。あいつ等、身の程を弁えずに…」
呟いたキリヤ様の羽根がビビビッと小さく震えて目が赤くなった。そう言えば私を助けに来てくれた時も目が真っ赤に染まっていた。
「目の色が…」
「ん?あぁ…」
キリヤ様は目元を指先で撫でると、深呼吸をした。すると瞳の色が何時もの黄色に戻って行く。
「虫人は興奮すると目が赤くなるんだよ。だから、目が赤い虫人には気を付けなよ?」
私が神妙に頷いたのを見てキリヤ様は薄く笑った。
「ねぇ、こんな僕は…気持ち悪い?」
さっきまでの強気な姿ではなく、何処か不安そうな表情を浮かべたキリヤ様。私は問いかけに頭を左右に振った。
「気持ち悪いなんて考えた事も無かったです」
「僕の事、怒ってない?」
「怒ってませんよ」
そう答えると、キリヤ様は視線を泳がせた後に私のお腹へと手を伸ばした。そしてそこを確かめる様に撫でて来る。そこは私が剣で腹を割いた場所。千切れてしまったはずのそこはもう既に傷痕すらなく、何時も通りの滑らかな肌だった。
「……ごめん」
「はい?す、すいません、良く聞こえなくて」
もう一度お願いします、とキリヤ様の言葉が聞き取れなくて聞き返した。するとキリヤ様は何故か真っ赤になって怒り出してしまった。
「なっ、ば、馬鹿じゃないのって言ったんだよ!お前なんて馬鹿でお人好しだって言ったの!」
オマケに耳も遠い、と言われてしまった。でもキリヤ様の触覚が小さく揺れているのに私は気付いたのだった。