第4章 虫の王
「さぁ、着きましたぞ」
開けられた扉の中は真っ暗だった。そこからクスクスと小さな笑い声と酒の臭いがする。
「何だよ、本当に連れて来たのか?」
「嘘、信じられなーい」
驚きながらも楽しんでいる様な、そんな声。中から聞こえた声には聞き覚えがあった。目が段々と暗闇に慣れてきて、部屋に居たのはやはりキリヤ様と一緒にお酒を飲んでいた虫人達だと理解した。
「っ…」
その人達の私を見る目に体が小さく震える。
私を運んで来た蜘蛛の男は、天井に糸を飛ばした。そして幾重にも糸を飛ばして蜘蛛の巣を作りそこに私を貼り付けた。
「煩いですよ。貴方達がどうしてもと言うから誘ってやったのです、感謝しなさい」
蜘蛛の男は私の足の糸を切った。宙にぶらさがる状態になった私の腰を男の手が撫で回す。そして薄い寝間着の裾から手を差し入れると下着の紐を引っ張った。支えが無くなって下着が床に落ちる。
「ふふっ、怯えているのですか?もっと力を抜いて」
「ははっ、そりゃ無理だろ?頬が青くなる位に殴られて連れて来られたんだぜ?」
部屋に居た男達が立ち上がった。そして蜘蛛の男の側へと寄ってくる。
「それよか、早くしろよ」
「分かってますよ、でも約束は守って頂きたいですな」
「分かってるって」
蜘蛛男が私の足に手をかけた。私はささやかな抵抗に足を動かした。すると男は新しい糸を天井に貼り付けて私の両足を開いた状態で固定してしまった。
「どれどれ、すげー…人間のはこんなんになってるのか」
「気持ち悪いなヒクヒク動いてるぞ」
虫人の男達が私の隠すものがない大切なところを覗き込んでは様々な感想を口にする。
「しかし人間との交尾は最高らしいですぞ?内が柔らかく、包み込む様に締め付けて…それに…」
蜘蛛の男がクンと鼻を鳴らした。すると真似る様に他の男達も鼻を鳴らす。ゴクリと誰かが唾液を飲み込んだ。
「ふふっ、清めるだけですぞ、清めるだけ…」
綺麗にするだけです、と蜘蛛男は私に近付くと鼻をクリトリスに押し付けた。そして大きく息を吸い込む。
「んっ?!」
私は嫌悪感に体を揺らしたのだけれど、蜘蛛の糸が揺れただけで拘束が外れる事は無かった。
「あぁ、何て匂いだ」
臭い臭い、と周囲の虫人が蔑む様に笑う。蜘蛛男の口から紫色の舌がヌルリと這い出した。そしてそれが私の秘部をべロリと舐め上げた。