第10章 夢のような昨日 ーーーーーホストナンバー2
[大丈夫だったよ、それより山田、本当に大丈夫?]
大丈夫って本当かな···。
いきなり倒れちゃったし···。
[はい···]
[何落ち込んでるの?]
!!!
[ばばばばっっっっ!!!??] ずざぁっ!
[うわ···めんどくさ]
悪魔野郎が痒い所を掻くみたいに頭に手を。
[あ、ああああのあと]
ヤバい、悪魔野郎でさえ美し過ぎて直視できん!!
[あのあと?フ、まぁ鈍臭いアンタがいなかったから順調だった]
ぴき。
ああ癒された後にコレだよ。鈍臭いのわかってるわ、自分でも。
葉太郎くんは、妙に姿勢良く隅々までキレイにテーブルを拭いていた。
なんかギクシャクしてる!!かわいいいいいいいいいいいいい
と一瞬にして脳内お花畑になった所で。
[体調に気をつけてね、山田]
[うっ、あっはいっ!]
やばい。名前呼びメッチャドキドキする···。
[また倒れるなんて本当に面倒臭い、後々面倒になることしないでよ。]
面倒を二回言った菜太郎は、今の私の腸の様子も知らず続ける。
[·····僕には理解に苦しむけど、アンタ一応注目されてるから。]
[···え?]
と私が止まった所で、
[あっ、ああそうだからと言ってあまり重く考えないでっ!]
と隼人さんが入ってきてーーー
[ちゅ、注目ゥゥゥ???]
とビックリリン!!
[ええええ!?私ちょっとだけしか接客やらなかったのに]
[それがまた注目の的だよ]
[えっ··じゃ、じゃあ、というか何で注目なんて··!]
気になる。だってホストでの自分の評価って······!?!
[あの人女の人っぽくて謎って、そこが魅力的に写ったみたいだよ]
[····っ!!ヤバイじゃないですかっ!!女っぽいっていうのバレて]
と、私は心底焦っていた。女だってバレたら、バレたら··。
とその時。
トン、トンと静寂に包まれた規則正しい階段を降りる足音が。