第8章 夢見る少女は揺れ動く
翌日、私はDVDのレンタルショップ出向き父がアカデミー賞を取ったという映画のDVDを借りてきた。
The dreaming girl swaysというタイトルの映画だ。
「借りてきたはいいけどどこで見ようかしら?」
「ジャック、俺とノアとメイソンは車で待機しながら過ごしているからベンジャミンとエミリーでホテルで見てきたらどうだ?」
ジャックの提案でエミリーとベンジャミンは変装して近くのホテルに一泊することになった。
部屋に入り早速DVDをテレビにセットした。
最初のお知らせが流れて映画の予告が次々と流れる。早送りをして映画が出てくるのを待った。
そして映画が始まった。エミリーの役を演じているのは現在、人気を誇るハリウッド子役のライリー・スミスという女の子だった。目の色や髪色や肌の色はそっくりだったが顔のパーツが若干違った。
話が流れていく。母親の虐待、娘の超能力、家族の崩壊がエミリーの見たままに映し出されていた。そして話が変わり警察の捜索の様子や連日のニュースの様子、パパの講演会の様子やインタビューなどオリジナルにちょっとひねりを加えた作品になっていた。1時間30分で映画を見終わって感想はジャック達に伝えた。
ホテルにはすんなり入れたのでこの日はベンジャミンとゆっくりすることにした。大広間でビュッフェも頼めるが2人はルームサービスで頼んだ夕食を食べた。
そして歯を磨いた後にお風呂に入った。
「はぁ~。」
お風呂なんていつぶりだろうか。心の底から染み渡る。
つかの間のお風呂はエミリーの体を癒してくれた。
翌日はベンジャミンとルームサービスの朝食を食べて荷造りをしてホテルを出た。DVDのレンタルショップに返した後はジャック達と合流して車に乗った。
「いいもん見れてよかったな。」
運転しながらジャックがエミリーに聞いた。
「そうね・・・いいもんか・・・。」
映画の内容はよかったが早くパパに会いたいという気持ちの方が大きかった。