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ボスとマフィア

第7章 新しい環境に溶け込もうとしている今


車が走り出版社の前まで来た。
「エミリー終わったら知らせてくれ。俺達は駐車場にいる。」
「わかったわ。ありがとう。」
ジャックと言葉を交わして私は社内に入っていった。受付の人に事情を説明して案内されたのは25階だっただった。
「失礼します。」
「おかけになってお待ちください。」
電話で聴いた女性が一礼して去っていった。

私はソファーに腰を下ろしてブラインドの隙間から見える景色をじっと見ていた。
「お飲み物は何になさいますか?コーヒーまたは紅茶?ジュースでしたらオレンジがありますが。」
「紅茶でお願いします。」
「わかりました。」
女性がお盆を手にして私に何を飲むのか聞いてくれた後に聞きなれない男性の声が近づいてきた。

「ああ、電話してくれたのは君かね?でもどうして彼のことを知りたいのかな?」
眼鏡をかけて茶色のひげを顎につけた男性がこちらにやってきてエミリーの向かい側に座った。
「実は私も前からエミリーちゃん失踪事件について調べていまして・・・たまたま書店でこの本を見付けたものですから。」
「なるほどね。さてどこから話そうか?」
男性が首をかしげている所に紅茶が運ばれてきた。

私は紅茶の透き通った色を見つめていたが前を向いて思い切って聞いてみた。
「あの、ジョナサン・カールソンは家族と住んでいた家を出た後はどこに住まわれていたのでしょうか?」
「それは私にもわかりません。個人情報ですからね。ですがこの本を出版するまでにいくつもの意見があり彼と対談することで進められた企画です。ジョナサン・カールソンは懲りずに私達の出版社に訪れてくれていました。その時におっしゃっていたのはマスコミが面倒くさいから厄介なことに巻き込まれたくないし虚無を新聞に書かれるのはごめんだと言っていました。」
「なるほど。」
私は頷いた後に紅茶を一口すすった。
やはり父の住居はわからないままなのか。でも個人情報だとしたら頷ける。

私はふと本のカバーをめくってみた。そこには父の簡単なプロフィールが書かれていた。

ジョナサン・カールソン
アメリカ、テキサス州生まれ。
のちに離婚した元妻と子供達とミシガン州に移り住み車の部品を作る会社に勤務していた。
この本で第36回エッセイ大賞を受賞して大きな話題になった。


と記されていた。

私はこれを見たとき、疑問点しか浮かばなかった。
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