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ボスとマフィア

第9章 交差する闇、絶壁の霹靂


エミリーは朝食を食べ終え、男は手を引かれてとある場所にやってきた。
「ここは?」
エミリーは冷たい声で言った。
「実験研究室さ。今からとてつもないことが始まる。これはノーベル化学賞も夢じゃない!そうだ。歯ブラシをやろう!」
男がニヤリとして言った。
「約束と違うじゃない。」
エミリーは叫んだ。
「気が変わったんだ。今からそれで歯を磨け!言っとくけど歯磨き粉は自分で探してくれ。」
「わかったわ。」
男から歯ブラシを受け取り部屋の中を隈なく探した。あそこだ!と思い歯磨き粉を引き寄せてなんとか歯を磨くことができた。

「大したもんじゃねーか。まぁ、本題はここからだけどな。」
「どういうことなの?」
エミリーは歯を磨きながら聞いた。

「さぁ、これで口を濯ぐがいい。」
男が差し出したグラスを見て唖然としたエミリーは言葉にならなかった。

「・・・・・・。」
「どうした?早く口を濯ぐがいい。」

これは水じゃないわ。だとしたらうがい薬?にしてもやけに鮮やかな紫色ね。何かしら?

ぶどうジュース?いや赤ワイン?何かが違うわ。なんだろうこの変な匂い。
「何を入れたの?」
エミリーはより一層に警戒心を強めた。
「何ってただのうがい薬だよ。」
「うがい薬には見えないわ。絶対何か入ってるはずよ!」
「いいからこれでうがいしてみろ!いつまでも口の中に歯磨き粉を入れておくわけにはいかないだろう?れ
「水はどこよ?蛇口をひねれば水が出るんだから水で濯いだっていいでしょ?」
男とエミリーはしばらく言い合った。
「ダメだ。ここの水は実験用に完備されたもので飲み水じゃない。口に含むわけにはいかないんだ。」
「じゃあ、料理の時はどんな水を使っているの?スープを作るのだって水が必要よ?」
「それは別の水を使っている。」
「別の水って何よ?」
「ぶはははは!」
男は突然笑った。それに対してエミリーはムッとして立ち尽くした。
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