第3章 3月【第二ボタンは誰のもの】黒子のバスケ/青峰&???
【第二ボタンは誰のもの】
卒業式には、凛とした空気が漂っていた。
いつもはガヤガヤと落ち着きのない生徒も今日ばかりは大人しくパイプ椅子に座っている。
担任の女の先生の袴姿がとてもステキだなあとぼんやり眺めていたことを覚えている。
目の前の、青い髪のクラスメートの後ろ姿を眺めるのも、今日が最後になるのだろうか。
そう思ったら、そのうなじから、その大きな背中から、目を離せなかった。
卒業証書、授与。
『今、別れの時』
卒業ソングを歌ったら急に実感が湧いて、涙がボロボロと溢れてきた。
『飛び出とう 未来信じて』
お別れなんだ。この学校とも。楽しかった日々とも。
最後のホームルームが終わりみんなで写真を撮った。
高校に行っても集まろうねって、また泣いた。
胸ポケットには桃色の花を刺し、卒業証書の筒を片手に晴々と外に出る。
「わっ!」
その途端、まるで待ち構えていたかのように、ぐっと手を引かれた。
式中もずっと見つめていた青い髪が目の前に。
掴まれた掌の温もりは、熱い。