第8章 7月。
「よぉっ!」
「うん……久しぶり」
屈託のない笑顔で私を抱き寄せて、唇にキスした。
切れ長の目に整った鼻と唇。テレビから抜け出してきたみたいなイケメン。彼は……圭二くん。
留学するまで、私は彼のことが好きだった。
彼もそれを知ってたけど、告白は「俺はずっと側にはいてやれない。もっとお前を大切にしてくれるヤツ、他にいるだろ」ってあっさりと断られた。
そのくせ留学前に私と関係をもっちゃう、そんなずるい人。
私は今でも彼のことが好きだ。
一番……ではないけど。
「んっ……」
軽いキスから唇をこじ開けて、生暖かい舌が侵入する。器用に後ろ手で玄関の鍵を閉めて、舌を絡めたまま私を抱き上げる。
抵抗することを思い出した時には、もう背中にはベッドがあった。