第8章 7月。
約束は18時だから、まだ4時間もある。
新一くんはバイトだって言ってたし、DVDでも見よっかなぁ。
テレビの前に座った瞬間、玄関チャイムが鳴り響いた。こんな時間に誰だろ?
宅急便来る予定はなかったし……。
女の1人暮らしだから出ない方がいいのかもしれないよね。悩んでいたら立て続けに3回鳴る。
「はい」
仕方なくインターホンに出ると、「なんだいるんじゃん。俺!入れてー」と明るい声が聞こえた。
安心するような、それでいて心がざわつくような……よく知ってる声だ。
家にはさすがに入れちゃだめだよね……心に浮かんだ思いは一瞬でかき消される。
そう、彼の顔を見ただけで。