第7章 6月。
……。
眩しい……。
唇に柔らかいものが触れた。
「おはよ」
視界を覆う達也くんの顔にどきりとする。やっぱり、好き。
「リモコン知らない?」
「んー、ベッドの下かも」
「あ、あった、えっ……?」
ベッドの上から頭だけ下ろして覗きこんだまま、達也くんは動かない。
どうしたの?って言いかけて、寝る前のことを思い出した。
スイッチ止めて、ベッドの下に隠して……それから……それから……。
「ローター、だよな。これ……。俺じゃ満足できないってこと?」
明らかに不機嫌な声色で背を向けたまま立ち上がる。
「違うの……」
何が違うの? 言い訳が出てこない。
「唯、俺とやってていったことないよな。俺よりこっちの方がいいってことだろ。……試合だから、俺、行くわ」
振り向かない顔は拒絶の現れで、私には腕を掴むこともできなかった。