第3章 2月。
下着の上に俺のジャージを身につけて、唯はチョコレートの流れる機械に向き直った。
「美味しそー。早く食べようよ。圭二もこっちおいで」
一口大のケーキを串に刺して目を輝かせている唯を横目にパンツを履きながら俺は……。
……だめだ、またやってしまった……。
去年の夏、当時の彼氏と別れた唯を慰めて告白するつもりが、何故かやってしまった。
うさぎみたいな瞳で俺を見つめる唯が堪らなくて、キスしたら雰囲気に流された。二人とも。
それから時々会ってこうして、もしかしたら彼女も俺を好きなのかも、と思ったら新しい彼氏を作りやがった。
だから今こそチャンスなんだ。本当の気持ちを伝えないと。また他の男に取られる前に。
「なぁ、唯」
彼女の肩に手をかけると、頬にチョコレートをつけた唯が顔を上げる。
俺は彼女の両肩に手を置いて真っ直ぐ見つめた。
「好きだ。俺と付き合ってくれ」