第12章 11月。
アウトドアが趣味の彼の車はミニバンで、2列目と3列目をフラットにしてるから紅葉を眺めながらごろごろできる。
風は冷たいけど日差しのおかげで車内は思ったより暖かくて、エンジンを切っても毛布一枚で十分だった。
「唯」
「んっ?」
名前を呼ばれて彼に目を向けたら、揺れた瞳とぶつかった。何かを決心したような、それでいて迷っているような。
「……ありのままの俺でも好きでいてくれる?」
あまりにも真剣な表情に、心臓がとくんと跳ねた。
ありのままって、どんな姿……?
私は好きでもいられる……?
不安な気持ちよりも、私に心を許そうとしてくれている事が嬉しい。
「うん」
私は大きく頷いた。