第11章 10月。
「嫌われてると思ってた。お前のこと忘れたくて色んな女に手出したけど虚しくて。
こんな俺を見られたくない、知られたくないって逃げてた。それなのに……」
私を包む腕に力が籠る。
「お前はこんな所まで、俺に会いに来てくれたんだ」
「達也……くん……?」
瞳を覗きたくて上げた隙を逃さず、彼に唇が奪われる。腰が抜けちゃうようなキスの後に達也くんは囁いた。
「好きだ。もう離さない。俺、お前に相応しい男になるから、頼む。お前の全部をくれよ」
どういう意味?
私の全部は、もうずっと昔から達也くんのものだよ。
思ったまま口に出すと、抱き締められたままベッドに運ばれた。