第11章 10月。
私の拘束を解いて、目を伏せたまま部屋を出ていこうとする達也くん。
「……待って!」自由になった手でやっと喋る自由を手にいれて、私は彼に向かって叫んだ。
びくっと肩を震わせて、それでも達也くんは振り返らない。
ドアノブに手をかけた彼を、私はやっとの事で捕まえた。
「話、聞いてよ。
こ、こんなとこ、いつも来てるわけないじゃない!
達也…くんがっ、ひっく……避けるから……だからっ……何とかして、会いたくって……うわーんっ……ひっ……」
怖かった……。
知らない男の人にどうかされちゃうんじゃないかと思って怖かったし。
あんなことする達也くんも怖かった……。
色んな気持ちが混じりあって涙が止まらない。