第10章 9月。
「人狼……」
消え入りそうな声で星夜は話し始めた。
お父さんは狼男、お母さんは人間。
変身したのはもう12年ぶりぐらいだ、と彼は自嘲気味に笑う。
ハーフの星夜は極度に興奮した状態と満月が重ならないと変身はしない。それでも、興奮することはずっと避けて過ごしてきた、と。
「ずっと嘘ついてきて……その上唯を傷つけるなんて、本当にすまない……。俺、お前の前から消えるから」
背を向けて立上がろうとした星夜を私は思いきり抱き締めた。
「わ、私ね、星夜にはCカップだって言ったけど本当はBカップなんだよ。それに、星夜にもらったワンピースもったいなくて着れないって言ったけど、飲み会でワインこぼしちゃったからだし、それに、ブーツ履いたら足なんてすごーく臭いし、それに……」