第10章 9月。
「はぁっ……はぁっ……」
……。
…………。
予想していた痛みはなかなかこなくて、私は恐る恐る目を開けた。
私の上に跨がったままの星夜は、人間の姿に戻って、項垂れていた。
「星夜……?」
「唯っ……」
私の声にはっとした顔をして、慌てて身体を離す。
いつもと同じ筋肉質な腕は私を抱き上げて、部屋のお布団の上に下ろす。
さっきのは夢だった……?
一瞬そう思うけど、違うことは肩についた爪痕が物語ってる。
「星夜は、何なの……?」
「俺は……俺は…………」
星夜は苦しそうな顔で眉を寄せる。
話したくないことだってことは解る。でも、私は聞かなくちゃいけない。