第1章 契り
鶴丸国永が部屋へ戻ってくると、彼と一緒に小夜左文字も姿を見せた。
そういえば今日の近侍は小夜左文字だったかと思考を巡らせながら、男は起き上がる。
「おはよう、小夜」
「おはよ」
二振りは部屋へ入るとお盆を近くの机に起き、男のすぐ側に腰を下ろした。
「主が腰を痛めてると言ったら、小夜が心配して手伝ってくれたんだ」
「おー、そっか。ありがとな」
鶴丸国永が小夜の方を見ながら説明し、男が礼を言えば、小夜左文字は照れくさそうに頬を赤く染めてからもじもじと体を捩る。
かわいいなあ、とはふたりの心情だ。
「主、だいじょうぶ?」
「大丈夫。昼餉からはちゃんとあっちで食べるつもりだし、デスクワークは辛いから国広に手伝ってもらうし、明日にはすっかり直ってるよ」
男が安心させるように笑みを浮かべながら頭を撫でてやれば、小夜左文字はほっと息をついた。