第3章 暗れ惑う
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男の上から鶴丸国永を退け、男が三日月宗近の手を借りながら立ち上がった頃には戦闘は止んでいた。
気を失って倒れている刀剣男士は呪いがかかっていたもの達だろう。
立っている刀剣男士も皆満身創痍だ。
無傷なものなど、誰一人としていなかった。
「主、傷の手当てを」
すぐそばでへし切長谷部が提案するのに、男は首を左右に振った。
自分の手当ては後だ。先にするべきことがまだ残っている。
「まずお前たちの応急処置が先だ。傷の深いものだけになるが…」
男はそう言って、自分を支えてくれている三日月宗近と、へし切長谷部、骨喰藤四郎の患部に手をかざし霊力を流す。
ちゃんとした手入れとは異なるので、傷が塞がるだけだが、しないよりはマシだろう。
今、手入れをするには時間が惜しかった。