第3章 暗れ惑う
「こんのすけ、本丸の空間の閉鎖を」
「はい」
「一期、第一部隊への状況説明は」
「すでに済ましております」
「ありがとう。怪我人はいなかったか」
「はい。軽傷のものはいましたが本人が手入れはまだよいと」
「わかった。国広、指揮は任せる。骨喰は国広のサポートを頼む」
男はそれぞれに指示を出すと、こんのすけと一期一振を伴い柚子の自室へと向かう。
応戦しているものたちの様子から柚子は見かけていないようであったし、もし刀剣男士に術をかけているなら自分が与えられている部屋からだろうと踏んだからだった。
その予測は見事にあたり、彼女の部屋の前に立つと中から人の気配を感じ取ることができる。
一期一振が男の横で、いつでも抜けるようにと刀に手をあてている。鯉口からわずかに鈍く光る刃が見えた。
男はそれを手で制し、襖越しに柚子に声をかけた。
恐らく、彼女は自分たちに気づいているだろう。
「柚子ちゃん、話があるんだ」
「………」
「…分かってるだろ?」
「………」
問いかけても、返事はなかった。
男のすぐそばで、一期一振が殺気を飛ばす。