第1章 契り
「きみは泣き虫だなぁ」
「だって、つるが、つるが…っ」
「はいはい、泣き止んでおくれ。俺のかわいいあるじ」
ちゅ、と目元にキス。
触れる唇が柔らかい。
優しいぬくもりを持ったそれは、男の泪を吸っていく。
「つる、」
「ん?」
男が呼べば、鶴丸国永の瞳と目が合う。
いつ見たって美しいその金色の瞳は、男に安堵を与えてくれる。
ほう、と肩の力が抜けて、全身の強張りが解けた。
「すきだよ」
ふにゃ、と男が微笑んで、拙い口調で告げる。
それを見た鶴丸国永と言えば、一瞬フリーズした後、ずんと下半身が重くなったのを感じて、同時に理性が崩れそうになるのを寸でのところで留める。
抱かれるのは初めてだと言っていた。
だから、うんと優しくしてやりたいし、終わった後に気持ちよかったと思ってほしい。
初めてを、宝物のような思い出にしてやりたい。
そのためには、鶴丸国永は自分の理性を男がとろとろに溶けてしまうまで決して手放さないと決めていた。
すきなひとは、大事にしたいのだ。