第2章 審神者見習い
「それで、あの、雪さんはどこへ行ったかご存知ですか?」
「主か?主なら縁側で飲んでるのだろう」
「だろうね。主に何か伝言かい?あるなら僕が伝えておくよ」
「いえ…。ただ、部屋の場所を後で案内すると言われていたので」
「あれ、まだだった?」
「はい、荷物は政府から直接部屋へ運ばれているんですが、私はこちらの部屋へそのまま来たのでまだ部屋の場所を分かっていないんです。山姥切さんや長谷部さんに聞けば分かるかと思ったんですけど…」
そこまで言うと、柚子はちらりと潰れている二口に目をやった。
あの様子では聞くのは無理だろう。
困っている様子の柚子に、三日月宗近がそうかそうかと朗らかに笑った。
「なら、お主が行くのが一番であろうな。この部屋を出て突き当りを右に曲がれば、中庭を見渡せる場所に出る。主ならその辺りにいると思うぞ」
「ありがとうございます。では、失礼しますね」
三日月宗近に言われた道のりを頭の中で反復し、柚子は席を立ち上がると、そのまま男がいるであろう縁側へ向かった。